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【名城大学】臨場感や没入感の高いメタバース用ディスプレイの実現へ ~世界初・トンネル接合による積層型GaInN系 モノリシック型RGBフルカラー μLEDアレイを開発~
2023年8月18日 10:30
名城大学理工学部材料機能工学科の岩谷素顕教授、竹内哲也教授、上山智教授のグループとサウジアラビア・King Abdullah University of Science and Technology (KAUST)の大川和宏教授グループの共同研究により、超高精細・超高輝度なVR/AR/MR用ディスプレイが作製可能な、世界で初めて“トンネル接合による積層型GaInN系モノリシック型RGBフルカラー μLEDアレイ”の開発に成功しました。本研究成果は、2023年8 月17日に英国物理学会誌の国際論文誌「Applied Physics Express」(https://doi.org/10.35848/1882-0786/aced7c)に掲載されました。
【本件のポイント】
・トンネル接合を介して赤・緑・青(RGB)のLEDを積層することにより同一基板上にモノリシック型フルカラーμLEDアレイを開発することに成功しました。
・作製したμLEDアレイは、赤・緑・青の発光を得ることに成功しました。
・本技術は超高精細・高輝度で没入感のある映像体験を提供することが期待できます。
【本件のポイント】
・トンネル接合を介して赤・緑・青(RGB)のLEDを積層することにより同一基板上にモノリシック型フルカラーμLEDアレイを開発することに成功しました。
・作製したμLEDアレイは、赤・緑・青の発光を得ることに成功しました。
・本技術は超高精細・高輝度で没入感のある映像体験を提供することが期待できます。
【研究の背景】
近年、メタバースを具現化するディスプレイの開発が精力的に行われています。具体的には、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)向けのヘッドマウントディスプレイやスマートグラスなどで、世界中で開発競争が激化しています。メタバースは今後、標準的な表示装置になる可能性を示しており、その市場規模は7年後の2030年に1.5兆ドル(210兆円)/年に達するという市場予測もあります。
メタバースでは、臨場感があり没入感のある映像体験を提供することが必須であるため、微細化、高精細化さらには高輝度化が最も重要な課題です。また、人間が見分けられる限界の視野角は0.02°だと言われおり、この視野角を基に、1画素が数~数十μmを開発目標として研究開発が進んでいます。具体的なターゲットとして外光を遮断して用いることを想定しているVR用には画素サイズが10μm角以下、輝度は3000 nits以上、外光を含むことを想定しているARやMR用には画素サイズが数百nm角以下、輝度が数万 nit以上が必要とされています。最近ではVRの表示装置として、Apple Vision Proなどが発表されています。本ディスプレイは、有機ELにカラーフィルターを用いたシステムが採用されていますが、高精細化と高輝度化の両立に課題があり、さらなる高性能化が望まれています。また、有機EL以外にも液晶や量子ドットなど複数の技術が提案されていますが高輝度化・高精細化に課題が残されています。
これらの技術課題を解決するために、本グループではノーベル賞を受賞した故赤﨑勇教授の青色LEDの材料であるGaInNの適用を検討してきました。GaInNは化学組成を制御することにより単一材料でRGBを実現することができる材料です。また、有機ELなど他の技術に比べ高い輝度が得られることや微細化が可能です。この材料を用いることにより高輝度化と高精細化を両立できるメタバース用ディスプレイの応用が期待されてきました。しかし、素子の接続方法、高輝度な赤色LEDを作製することが困難であること、モノリシック(集積)化することが難しいなどの課題がありました。
【研究内容】
本グループでは、同一基板上にデバイスを作製するためにトンネル接合という量子力学で用いられる手法を用いました。名城大のグループでは長年GaN系のトンネル接合の研究開発を行っており技術開発を進めていました。また、KAUSTのグループでは長年高輝度な赤色LEDの開発を進めており、その効率は世界でトップクラスです。この2つのグループが共同で同一基板上に、トンネル接合を介して青色・緑色・赤色LEDを積層したウェハーを作製し、それをμLEDに加工することにより、世界初の「トンネル接合による積層型GaInN系モノリシック型RGBフルカラー μLEDアレイ」の開発に成功しました。
【今後の展開】
μLEDの輝度は数万nitsを超えることができることから、本デバイスを微細化することにより、超高精細・超高輝度なVR/AR/MR用ディスプレイが作製可能となると考えられます。これらのディスプレイが具現化することによって、現実世界と同様の臨場感や没入感の高いメタバース用ディスプレイの実現が期待されます。
【用語の解説】
1) メタバース:仮想的なデジタル空間であり、現実世界とは異なる社会的・経済的な活動が行われる仮想世界のことを指します。
2) トンネル接合:ナノスケールの障壁をトンネルして電子が通過する量子的な現象で、高い電気伝導性を実現します。
3) GaInN:窒化ガリウム・窒化インジウムを主成分とする化合物半導体で、青色から緑色の光を発するLEDやレーザーデバイスに利用されます。最近は赤色LEDも実現されつつあります。
4) μLED:素子サイズが数マイクロメートルから数十マイクロメートルの微細なLEDを呼びます。
5) モノリシック:一体的なシステムまたはデバイスを指します。半導体デバイスでは集積化を指すことも多いです。
6) ディスプレイのフルカラー化:ディスプレイは、赤・緑・青(RGB)の3つの色(光の三原色)を組み合わせて、広範囲な色を再現できるカラー表示技術を実現することを指します。
【お問い合わせ先】
名城大学 理工学部 材料機能工学科 教授 岩谷 素顕
TEL:052-838-2430
E-mail:iwaya@meijo-u.ac.jp
近年、メタバースを具現化するディスプレイの開発が精力的に行われています。具体的には、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)向けのヘッドマウントディスプレイやスマートグラスなどで、世界中で開発競争が激化しています。メタバースは今後、標準的な表示装置になる可能性を示しており、その市場規模は7年後の2030年に1.5兆ドル(210兆円)/年に達するという市場予測もあります。
メタバースでは、臨場感があり没入感のある映像体験を提供することが必須であるため、微細化、高精細化さらには高輝度化が最も重要な課題です。また、人間が見分けられる限界の視野角は0.02°だと言われおり、この視野角を基に、1画素が数~数十μmを開発目標として研究開発が進んでいます。具体的なターゲットとして外光を遮断して用いることを想定しているVR用には画素サイズが10μm角以下、輝度は3000 nits以上、外光を含むことを想定しているARやMR用には画素サイズが数百nm角以下、輝度が数万 nit以上が必要とされています。最近ではVRの表示装置として、Apple Vision Proなどが発表されています。本ディスプレイは、有機ELにカラーフィルターを用いたシステムが採用されていますが、高精細化と高輝度化の両立に課題があり、さらなる高性能化が望まれています。また、有機EL以外にも液晶や量子ドットなど複数の技術が提案されていますが高輝度化・高精細化に課題が残されています。
これらの技術課題を解決するために、本グループではノーベル賞を受賞した故赤﨑勇教授の青色LEDの材料であるGaInNの適用を検討してきました。GaInNは化学組成を制御することにより単一材料でRGBを実現することができる材料です。また、有機ELなど他の技術に比べ高い輝度が得られることや微細化が可能です。この材料を用いることにより高輝度化と高精細化を両立できるメタバース用ディスプレイの応用が期待されてきました。しかし、素子の接続方法、高輝度な赤色LEDを作製することが困難であること、モノリシック(集積)化することが難しいなどの課題がありました。
【研究内容】
本グループでは、同一基板上にデバイスを作製するためにトンネル接合という量子力学で用いられる手法を用いました。名城大のグループでは長年GaN系のトンネル接合の研究開発を行っており技術開発を進めていました。また、KAUSTのグループでは長年高輝度な赤色LEDの開発を進めており、その効率は世界でトップクラスです。この2つのグループが共同で同一基板上に、トンネル接合を介して青色・緑色・赤色LEDを積層したウェハーを作製し、それをμLEDに加工することにより、世界初の「トンネル接合による積層型GaInN系モノリシック型RGBフルカラー μLEDアレイ」の開発に成功しました。
【今後の展開】
μLEDの輝度は数万nitsを超えることができることから、本デバイスを微細化することにより、超高精細・超高輝度なVR/AR/MR用ディスプレイが作製可能となると考えられます。これらのディスプレイが具現化することによって、現実世界と同様の臨場感や没入感の高いメタバース用ディスプレイの実現が期待されます。
【用語の解説】
1) メタバース:仮想的なデジタル空間であり、現実世界とは異なる社会的・経済的な活動が行われる仮想世界のことを指します。
2) トンネル接合:ナノスケールの障壁をトンネルして電子が通過する量子的な現象で、高い電気伝導性を実現します。
3) GaInN:窒化ガリウム・窒化インジウムを主成分とする化合物半導体で、青色から緑色の光を発するLEDやレーザーデバイスに利用されます。最近は赤色LEDも実現されつつあります。
4) μLED:素子サイズが数マイクロメートルから数十マイクロメートルの微細なLEDを呼びます。
5) モノリシック:一体的なシステムまたはデバイスを指します。半導体デバイスでは集積化を指すことも多いです。
6) ディスプレイのフルカラー化:ディスプレイは、赤・緑・青(RGB)の3つの色(光の三原色)を組み合わせて、広範囲な色を再現できるカラー表示技術を実現することを指します。
【お問い合わせ先】
名城大学 理工学部 材料機能工学科 教授 岩谷 素顕
TEL:052-838-2430
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