Metadream株式会社(東京都千代田区)は、Google PlayとApp Storeにてスマートフォン向けメタバースSNS『Bondee ボンディー』を好評配信中です。
自分のアバターを作成して友だちと密なコミュニケーションができる次世代メタバースSNSとして、アジア各国で人気が急上昇し、日本でも特にZ世代を中心に注目を集めています。
今回、その人気の秘密を紐解くべく、書籍『メタバースとWeb3』を執筆した國光 宏尚氏への取材を実施しました。
いま、『Bondee ボンディー』がなぜSNSに新しいトレンドを巻き起こしているのか、そしてメタバースSNSは今後どのような発展を遂げるのか。國光氏ならではの視点で分析していただきました。
【SNSの変遷には大きく2つの軸がある】
ひとつは、友達とつながる軸です。面白いのは、最初はリアルの友達とつながっていたものがバーチャルの友達とつながり、それに飽きるとまたリアルな友達とつながる。このように「ソーシャルグラフ」が、リアルとバーチャルを行ったり来たりしています。もうひとつの軸は、「コンテンツフォーマット」という観点です。これは通信環境の変化によって変わり、3G時代はテキストベースでしたが、4Gとスマホの時代になると写真がベースになり、回線がより速くなったことで動画がベースになっていきました。友達とのつながり方を示す「ソーシャルグラフ」と、通信環境とデバイスの変化による「コンテンツフォーマット」の変化を注意深く見ていくことが重要で、その観点で『Bondee』が登場したタイミングには、非常に興味深いものがあります。
【女性を中心に気軽に友達とつながれるというポジション】
Twitterは完全にリアルより趣味でつながる形になっています。TikTokは言ってみればスマホに特化したYouTubeみたいなもので、友達とつながることよりも動画を観ることがメイン。Instagramは、リアルな友達とつながることよりも、インフルエンサーベースでより広くの人とつながっていくものになっている。そうした中でリアルな友達とつながるツールは、LINEが主流なのですが、LINEはメッセージをチャットで送り合うのがメインなので、SNSとは少し違うものだと思っています。友達とバーチャルでつながれるものとして「Fortnite」「Roblox」「Minecraft」などが挙げられますが、これらはゲーム色が強いため、ゲームをしない人にはあまり魅力的ではありません。それにゲームをベースにしていることから、男の子が好むようなデザインになっています。そんななか『Bondee』は、「若い女性を中心にした、リアルの友達と気軽につながれるアプリ」というポジションにうまくフィットしたように思います。
【常に新しい自分たちの居場所を求める若者世代にマッチしている】
SNSは、時代によって新しいものが絶えず出てきます。これには明確な理由があって、若い世代は上の世代とつながりたくないんです。親や先輩、会社の上司とはつながりたくなくて、自分と同世代の社交場がほしい。そこに上の世代が入って来ると若者はそこを離れ、新しい場所を見つけます。そうやってSNSは、絶えず若い世代の間から発信されてきました。Instagramが来て、TikTokが来て、それが世界を席巻した。しかしそれらも大人が使うようになったことで、若い世代はすでに「もう自分たちの場所じゃない」と認識して少しずつ離れ始めています。そんな中で出て来たのが『Bondee』です。
【キーワードは「ストレスフリー」と「ゆるさ」】
Twitter、Instagram、TikTokの台頭によって現在のSNSは、「人に向けて情報を発信する」という面が強くなりすぎて、気軽な投稿ができなくなりました。それに対して『Bondee』のいいところは、人に見せるためのアクションではなく、「今何してる?」という気軽さや自分を少しだけ着飾るなど自分の中で完結していて、それをベースに友達とつながれることです。自分でアバターや部屋をカスタマイズすることで自己表現し、それを介して友達とつながれるところは、「どうぶつの森」と非常に近いところがあります。また、今のSNSはインスタ映えを気にしたり、LINEでは見たらすぐに返事をしないと既読無視と言われてしまいます。Facebookは親や職場の人、昔の同級生など、あまり見られたくない人に見られている可能性があるなど、多くのSNSは気づけばストレスフルです。アバターを介して、友達の上限も50人くらいまでという『Bondee』の設定は、実にちょうどいいのではないでしょうか。
【「リアルさとアニメっぽさ」の絶妙なアバターデザイン】
3Dアバターも進化し、スマホで作ることも簡単にできるようになったことで、その中で自分自身をもっと表現したいという欲求が、ユーザーの間では高まっています。リアルな自分の写真を使ってアバター化するのは難しいし、毎日自分をきれいに着飾って写真を撮ってSNSにあげるのも疲れる。それを補う意味でも、バーチャル上で自身のアイデンティティを持ったキャラクターで友達と交流できるというところは、若い世代にとても大きなニーズがあります。アバターのデザインについては、欧米ではリアルなほうが好まれ、アジア圏ではアニメベースのかわいいテイストが好まれる傾向にあります。リアル過ぎず、かと言ってアニメ過ぎてもいない、『Bondee』のアバターデザインは、これまでいろんなサービスのアバターを見てきた自分から見ても、とてもユニークで絶妙だと感じます。どんな文化圏にも受け入れられそうで、実際に日本だけでなくフィリピンやタイなどの東南アジアで高い支持を得ているのもそうしたところから来ているでしょう。
【カスタマイズすることで広がる『Bondee』の世界】
『Bondee』の特徴として、それこそ「どうぶつの森」のように、自分の部屋を作って飾り付けするなどバーチャル空間上で自分のアイデンティティを表現することが可能です。そこに友達を招待するなどして交流できるところは、すごく優れているなと思っています。今は部屋だけですが、いずれは家、庭など、カスタマイズできる場所が広がり、それがどんどん街っぽくなって、最終的には「Fortnite」のようにワールドをユーザーが自由に作れるようになっていくと、よりスティッキネスが高まっていくのではないかと思います。また、その次の段階として簡単なゲーム要素を追加して、一緒に釣りをしたり牛を追いかけたり。非常にカジュアルな感じの、みんなで集まって何かをする要素を入れられたら、よりコミュニケーションが増していくのではないでしょうか。
【『Bondee』に期待する今後の展開】
有名ブランドとコラボしてアバターのファッションや部屋の飾り付けアイテムをリリースするなどは、早い段階で期待できると思います。また、ネットリテラシーの理解がもっと進まないと難しい事としては、NFTやブロックチェーンの技術を活かして、様々なクリエイターがバーチャルアイテムを作ってメタバース上で売買されるようになると、いずれは『Bondee』の中で新たな経済圏が生まれるでしょう。そうなった時に『Bondee』は、とても面白いSNSになっているはずです。さらに現在は、ARモードでリアルの風景にアバターを重ねて、何かゲームができるようにできると面白いかもしれません。さらに、ここにVRモードが加わると、『Bondee』の中の街を歩き回れたり道で出会った人と立ち話をしたり、よりコミュニケーション自体が楽しくなっていくでしょう。
【國光 宏尚(くにみつ・ひろなお)】
1974年生まれ。高校卒業後、海外留学を経て、2004年に株式会社アットムービーに入社。映像制作やIT事業に携わる。2007年に独立しモバイル向けサービスの株式会社gumiを創業。2021年に同社を退任し、株式会社Thirdverseと株式会社フィナンシェの代表取締役CEOに就任。“Web3”に特化したファンドgumi Cryptos Capitalのジェネラルパートナーを務める。2023年5月、株式会社Mint Town代表取締役CEOに就任。
著書に『メタバースとWeb3』(エムディエヌコーポレーション刊)など。
Metadream株式会社
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