一般社団法人日本RV協会(所在地:神奈川県横浜市、会長:降旗 貴史)は、「日本におけるキャンピングカーの実態」を正確に把握するため、ユーザーや会員からのアンケートを集計し、「キャンピングカー白書」として、実態調査の発表を行ってきました。そして、2020年7月に、最新となる「キャンピングカー白書2020」を発行しました。
ユーザーがどのようにしてキャンピングカーと接しているか、産業としてのキャンピングカー市場の拡大など、近年のキャンピングカーを取り巻く環境の特徴を表した調査結果が掲載されています。
今回は、「キャンピングカー白書2020」に掲載されている内容を抜粋してご紹介します。
日本RV協会URL: https://www.jrva.com/
■現役世代のキャンピングカー保有が増加
キャンピングカーを購入したユーザーの職業について調査を行ったところ(図表1)、前回の調査では、定年により退職されたユーザーが増加していましたが、今回の調査では2.5ポイント下げて、その勢いは弱まりつつあります。
比率でみると、会社員の比率が最も多く、35.7%となっています。前回の調査と比べると0.5ポイントの減少です。自営業も減少していますが、会社役員、その他が増え、現役世代の割合の高いことが確認されます。
これまで、退職した人の増加により、時間を気にすることのない長期型、自由な行動の周遊型行動が増えると予測していましたが、現役世代の保有率が高まることで、仕事をしながらも、生活の中にキャンピングカーを取り入れる、新しいライフスタイルも生まれようとしていることが分かります。
図表1: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_2.jpg
■ペットとの旅を楽しむユーザーたち
ペットを飼っているから、キャンピングカーユーザーになった人も多いです。旅行に行く時、宿泊場所、移動手段を考えると、キャンピングカーの優位性は高く、キャンピングカーとペットの相性は良いと言えます。
実際にキャンピングカーユーザーは、ペットを連れて旅行に行っているのでしょうか。その回答は、39.6%の人が毎回連れて行くという結果でした(図表2)。前回の調査でも、最も多かった回答で、ペットとの旅行を楽しんでいる人は多いです。
さらに、ときどき連れていく、連れていかない、飼っていない、それぞれの数値が、前回アンケートよりも、全般的に減少しているのも、1つの傾向と捉えられます。この結果から、キャンピングカーオーナーは、ペットを飼っている人が増え、一緒に行動する人が増えていると考えられます。
ペット専用のモデルが登場するなど、ビルダーもペットオーナーを意識したクルマを製造しています。ペットオーナーたちも、ペットと旅行をしやすいモデルが増えたことで、ペットと一緒に旅する機会が増えていると考えられます。
図表2: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_3.jpg
■RVパーク利用者数が続伸
宿泊場所は、キャンピングカー購入前の多くのユーザーが気にしていることです。雑誌やインターネットで情報を得ても、マナーや駐車場スペースなどの不安を感じる人も多いです。そこで、実際にユーザーがどのような場所で宿泊しているか、アンケートを取りました(図表3)。
最も多かったのが、道の駅、次に高速道路のSAやPA、RVパーク、キャンプ場と続きます。道の駅の利用者が圧倒的に多いです。しかし、前回の調査と比べると、道の駅はマイナス4.2ポイント、高速道路のSAやPAはマイナス6ポイントです。逆に増加したのは10.5ポイント増えたRVパークでした。前回、RVパークは前々回から割合が2倍に増え、急速に利用比率を高めてきました。その増加傾向は今回の調査でも継続しています。
RVパークは2020年5月の時点で153ヵ所が日本RV協会に認定されています。施設は継続的に増え続けており、ユーザーにとっても、利用しやすい環境が整ってきました。施設によって設備も変わってきますが、電源や入浴施設の確保など、利用料を払ってもキャンピングカー向けの設備を利用したいユーザーが増えていると考えられます。
図表3: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_4.jpg
■キャンピングカー保有台数は純増
日本RV協会員のキャンピングカー事業者が出荷した台数と、輸入した台数を合計し、廃棄台数を差し引いた数値を国内キャンピングカーの保有台数とすると、2019年は11万9,400台となりました。2017年が10万6,200台、2018年が11万2,500台、であったことから、6,300台、6,900台と順調に増加しているのが分かります(図表4)。
図表4: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_5.jpg
■前年対比114.3%で順調に伸びる国内生産台数
日本RV協会員のキャンピングカー製造メーカーが2019年に生産したキャンピングカーの出荷台数を調査しました(図表5-1)。集計結果はキャブコン1,819台、バンコン2,069台、バスコン85台、キャンピングトレーラー46台、その他26台、8ナンバー以外2,400台となり、総計6,445台に達しました。
対前年比で見ると、キャブコン110.0%、バンコン111.1%、バスコン50.6%、キャンピングトレーラー95.8%、その他288.9%、8ナンバー以外126.6%、総計が114.3%となりました。車種によっては減少していますが、全体では増加の傾向が見られます。
その他の増加率は高いですが、全体に占める台数は少ないです。8ナンバー以外の増加も多く、こちらは占める台数も大きくなっています。キャブコンで8ナンバー以外というのは限りなく少ないことと、全体の車種ごとの占有比率を考えると、8ナンバー以外のクルマはバンコンスタイルが多いと推測できます。軽自動車の占める率は2018年が22.3%、2019年が16.3%となっています(図表5-2)。
前回の白書では、年間の国内生産台数が5,000台を超えましたが、その後、2年で6,500台に迫る数値となりました。ここ数年続いている増加傾向ですが、近年は、さらに勢いを増していることが分かります。需要の拡大、生産体制の強化など、いろいろな理由が考えられます。
図表5-1: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_6.jpg
図表5-2: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_7.jpg
■販売総額が500億円を突破
2019年の日本RV協会員が販売したキャンピングカーの販売総額を集計したところ、526億2,577万円となり、過去最高の総販売額となりました(図表6)。前回の白書に掲載されている2017年の販売総額が424億6,975万円だったので、前回調査から101億5,602万円の増加となります。
内訳は、新車と中古車で、キャンピングカー登録車両とそれ以外の車両に、それぞれ分かれています。販売総額の対前年比率を見ていくと、新車キャンピングカー登録117.8%、中古キャンピングカー登録124.0%、新車キャンピングカー登録以外83.5%、中古キャンピングカー登録以外116.0%となっています。
販売の金額ベースで増加の傾向が強かったのは、中古のキャンピングカー登録でした。中古キャンピングカー市場が活発的に流動していることが確認できます。生産台数が増え続け、中古市場まで活性化されていることで、キャンピングカーマーケットの成熟が促されたと考えられます。
新車キャンピングカー登録以外のみ、前年割れをしていますが、近年の傾向として、キャンピングカー登録以外の車両は、前年割れと増加を繰り返しているので、減少傾向にあるとは言い切れません。一方でキャンピングカー登録車両については、純増の傾向があります。
新車の販売総額を工場からの出荷台数で割ってみると、キャンピングカー登録車両の場合は2019年798万円/台、2018年732万円/台、2017年715万円/台、2016年621万円/台となり、キャンピングカー登録車両以外はそれぞれ、204万円/台、309万円/台、260万円/台、352万円/台となりました。販売のタイミングや車両のカテゴリー違い、軽自動車の比率などを加味しても、キャンピングカー登録車両の1台あたりの販売価格は上昇していると考えられます。
図表6: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_8.jpg
■積極的な設備投資で事業拡大
キャンピングカーの出荷台数が増え、各企業は需要に見合った生産体制を整える必要があります。そこで、日本RV協会員に今後の設備投資に対する考え方を聞きました。すると、当面設備投資はしない38.8%、近い将来に設備投資をする予定がある36.9%、最近設備投資をしたばかりである21.4%、不明2.9%となりました(図表7)。
近い将来に設備投資をする、設備投資をしたばかりの2つを合わせると、58.3%となり、半数以上の企業が積極的な設備投資に前向きであることが分かります。この積極的な設備投資をする企業比率を2016年からみてみると、50.5%、52.1%、52.6%、そして58.3%と確実に増加しているのが分かります。
消極的な設備投資の比率が減少していることからも、活発なキャンピングカー市場拡大の条件は整っていると言えます。
図表7: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_9.jpg
■若者のキャンピングカー利用が増加
レンタルキャンピングカーを利用する年齢層を、事業者の側から推測した年齢で集計してみました。もっとも多かったのが40歳代という結果でした(図表8)。
各年齢の比率を追ってみると、前年と比べて、20歳代は3.8ポイントアップの10.8%、30歳代は2.0ポイントアップの24.5%、40歳代は1.1ポイントアップの32.0%、50歳代は4.5ポイントダウンの22.1%、60歳代以上は2.4ポイントダウンの10.6%となっています。
40歳代以下の年齢層が増え、もっとも増加率が高かったのが20歳代でした。経済的理由からキャンピングカーオーナーになりにくいという理由もありますが、若年層がキャンピングカーへ興味を持ち、レジャーなどで利用するキャンピングカーの存在が浸透してきたとも考えられます。
図表8: https://www.atpress.ne.jp/releases/218225/img_218225_10.jpg
■調査概要
【ユーザーアンケート調査の概要】
調査対象:「くるま旅クラブ」会員のキャンピングカーユーザー8,873人
(2019年12月現在)<回収 2,821人/回収率 31.8%>
調査方法:くるま旅クラブホームページ上でのアンケート及び、
アンケート用紙を郵送し、返信を日本RV 協会事務局が
委託した調査機関が集計
調査項目:46項目
調査期間:2020年2月1日~2月末日
【キャンピングカー業界調査の概要】
調査対象:日本RV協会員のキャンピングカーメーカーおよび販社112社
<回収 106社、回収率 94.6%>
調査方法:アンケート用紙を郵送し、返信を日本RV協会事務局が
委託した調査機関にて集計
調査項目:33項目
調査期間:2019年12月末日~2020年1月末
※同データにおいては協会非会員事業者による登録・販売数は含みません
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